調剤薬局

ドラッグストア

■コスモス薬品

コスモス薬品は九州を中心に、広く西日本に「ディスカウントドラッグコスモス」というドラッグストアを展開しています。名前の通り、その強みは「安さ」です。価格競争が激しい九州で、自社の物流センターをもつなど徹底したコスト削減によって他社に負けない低価格販売が実現しています。ここ5年間の売り上げは順調に伸びており、年商3718億、総従業員数17702人(2014年5月)という大企業となりました。店舗数は627店舗(2015年2月)です。ただし、調剤薬局は1店舗しかありませんので注意してください。ドラッグストアではありますが、調剤ではないところで勝負をしている企業です。

コスモス薬品のコンセプトは「小商圏型メガドラッグストア」。なんと人口1万人に1店という集中出店を目指しているとのことで、地域では圧倒的な存在感があります。スーパーやコンビニよりも身近に感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。そして、そんな小さな商圏での出店ではあるものの、売り場面積はできる限り広く、品揃えは豊富にという方針のようで、2000平米のお店もあるというから驚きです。お客様の立場に立った品揃えと低価格が強みとなっての成長だったのでしょう。

その品揃えは、医薬品・化粧品のみならず、日用雑貨や生鮮三品以外の食品など、日常の蔵に必要な消耗品までカバーしています。毎日の買い物をするのに、非常に便利がいい店になっていて、さらに安い。スーパーに行って、ドラッグストアに行って、といろいろな店をまわらなくてもいいというのは、消費者としてはありがたいですね。

ただし、その分、薬剤師が活躍する場面は限られてくるようです。ドラッグストアではありますが、医薬品ばかりがメインではないというのがコスモス薬品のスタンスです。接客の方針は、「セルフセレクション」と「ライトカウンセリング」。お客様自身が選びとることが第一と考えられていて、薬剤師は相談にのって欲しいお客様、考えこんでいる方に少しアドバイスをする程度の接客となるようです。もちろん、専門知識は必要にはなってきますが、親身に、丁寧にカウンセリングをしたいという方は、コスモス薬品への転職には十分気をつける必要があるでしょう。

現在は正社員のみの募集が掲載されています。パートやアルバイトは各店舗に問い合わせることになりそうです。正社員の募集も、総合職の募集がメインに据えられており、薬剤師はエリア社員という位置づけになります。転勤なしで働きたい方には適していますね。また、薬剤師の業務内容はOCT販売に限られていますので、調剤に携わりたい方は避けた方がいいと思います。

給料・年収

正社員の想定年収は500万円程度です。なお、新卒は新卒採用は、総合職・建築設計職・施工管理職での採用となっていますので、新卒で薬剤師に応募される方は確認が必要です。加えて、福利厚生として、リフレッシュ休暇制度(完全6連休)、退職金制度、社員持株制度、旅行補助、らくらく引越し(会社が引越し業者手配し、費用は会社負担)など多くの制度があります。

勤務時間

8:30~21:15の間で交替制となっています。(早番8:30~19:00 遅番11:00~21:15)

■コスモス薬品でのキャリア

さまざまな商品を扱っているので、店舗の運営など幅広い分野にチャレンジする機会はあるかと思います。しかし、お客様へのカウンセリングなど薬剤師としてのスキルアップを目指すのは難しいかもしれません。

社員教育・研修制度

新入社員研修やブラザー制度といった新卒向けの研修、店長や販売員向けの研修など、立場に応じてさまざまな勉強の機会があります。ただ、薬剤師に特化した研修にはあまり力が入っていないという印象です。

■コスモス薬品の特徴

医薬品を中心としながらも、低価格でさまざまな日用品を地域の方に提供するドラッグストアだと思います。薬剤師が主役となるわけではなく、店舗運営のスタッフとともに学びながら新しいドラッグストアをつくっていくような環境ではないでしょうか。

転職を考えるならば、薬剤師として高度な専門知識や対人スキルを伸ばすことは難しい職場ということになります。ですが、既存のドラッグストアにとらわれない柔軟な経営方針は感じました。薬剤師以外の視点を交えながら、お客様にとっていいサービスを打ち出していくことを目指すなら、おもしろい環境になる気はします。